このタイトル記事のシリーズは、ダライ・ラマ法王猊下より無上瑜伽タントラ(チッタマニターラ尊)の灌頂を授かったことに直接的、間接的に関係している因縁について記載していきます。
この記事では、この度の灌頂を授かることが決まるまでに私が読み学んできた書籍の中で、今回の灌頂と関係が深いと感じたものをまとめてみたいと思います。
ダライ・ラマ法王猊下の著作関係の書籍
1、ダライ・ラマの仏教入門ー心は死を超えて存続する
私がはじめて読んだ法王様の本でした。薄い文庫本なのですが、中身は充実しています。
仏教入門とありますが初学者の私にとっては簡単な内容ではありませんでした。ただ、難解な内容をわかりやすく説いていただいていることを実感しますし、語句の注釈もわかりやすく記載してくれているので、何度も読みながら学ぶのには最適でした。
2、ダライ・ラマの仏教哲学講義ー苦しみから菩提へ
私が仏教哲学を本格的に学びたいと思った時に、最適な入門書となってくれた書籍です。内容も構成も何度も読み返して理解を深めるためにはベストでした。
各宗派などの仏教哲学をひとつひとつ学んでいくのも良いですが、まずは仏教全体の骨子を理解することで仏教の様々な側面をより深く理解できるのではないかと思いました。
3、ダライ・ラマの「中論」講義
大乗仏教における空性と縁起のダルマを大成された龍樹菩薩(ナーガルジュナ)の主著である「中論」についての講義録です。
中観の教えについて正しく学ぶことができると思います。
4、ダライ・ラマ ゾクチェン入門
現在のダライ・ラマ14世から遡ること数百年前、ゲルク派の最高指導者であったダライ・ラマ5世はまたニンマ派の成就者でもあったということです。
そのニンマ派の頂点に立つ教えであるゾクチェンについての灌頂の際の講義録などをまとめた書籍です。
私は、ゾクチェンについてはナムカイ・ノルブ師の著書を数冊読んでいるぐらいの知識しかなく、内容は難解な部分が多かったため、ひとつひとつの言葉をじっくり思考しながら行きつ戻りつ読みましたが、それでも理解は追いつきませんでした。
法王様がニンマ派の教えについて言及したりティーチングしている書籍は日本では少ないのではないかと思いますし、密教の教義についての法話をされている書籍も多くはないと思います。
そういう意味でも非常に貴重な読むべき書籍だと思いました。
経典や論書の翻訳書籍
5、菩薩を生きる 入菩薩行論
法王様がチベットから亡命されるときに胸に抱えていたという論書「入菩薩行論」の日本語訳です。
今回の灌頂の前行法話のテキストにも選ばれておりました。
6、悟りへの階梯ーチベット仏教の原典『菩提道次第論』
ゲルク派の開祖であり顕教と密教の教理と修行の階梯を体系化された偉大なるツォンカパ大師の著作です。
ツォンカパ大師の二大主著のひとつとされており(もうひとつの主著は次の記事で紹介しています)、大乗仏教における顕教の修道プロセスの体系が記されています。
まさに、繰り返し、繰り返し、読む書籍だと思います。
7、チベット仏教成就者たちの聖典『道次第・解脱荘厳』解脱の宝飾
偉大なるヨーガ行者であるミラレパの弟子であるガムポパが著した論書です。
カギュー派における道次第が記されており、先のツォンカパの「菩提道次第論」と同じように修行の階梯が体系的にまとめられています。
8、ミラレパの十万歌ーチベット密教の至宝
ミラレパの伝記でもあり、事跡でもあり、法話でもあり、詩でもある書籍です。
かの雪国において生きとし生けるもののために無上の法輪を転じてくださったミラレパのお姿がありありと描かれています。
絶版本にはなりますが中古で入手することは可能です。
上記以外のチベット仏教に関係する書籍
9、チベット密教 心の修行
「ロジョン」の教えについて解説された書籍です。平易な語り言葉で書かれていて仏教を学んだことがない方もスッと内容が入ってくる書籍だと思います。
私は仏教哲学を学び始めた最初の頃に読ませていただきましたが、このロジョンの教えは日常の出来事に対して正しく行動するための力をくれるものだと思いました。特に、人間関係に新しい気づきを与えてくれる教えではないかと思います。
10、チベットの般若心経
中観学や般若学についてのエッセンスが、日本人にも馴染みの深い般若心経の教えの解説というかたちで説かれています。
仏教用語がたくさん出てきますが、注釈や解説を頼りに読み進めていくことで、漢語の般若心経やその解説書などではわからない深い意味についての理解を深めることができると思いました。
11、チベット仏教文殊菩薩の秘訣
文殊菩薩に関する聖賢の教戒について解説された書籍です。
特に、ツォンカパ大師がお説きになった、出離、菩提心、正見についての教えを学ぶことでラムリムのエッセンスを学ぶことができるのだと思いました。
私自身は、特に出離についての思索や思いを深めたいときには本書を読み返しています。
12、チベット密教の瞑想法
大乗仏教の修道の基本となる瞑想の方法についてわかりやすく説かれています。
瞑想は、大乗菩薩の修道の基本である六波羅蜜のひとつでもあります。密教の灌頂などを受けていなくてもできる瞑想法をいくつも紹介してくれていますので修道にとても参考になると思います。
13、ゾクチェンの教えーチベットが伝承した覚醒の道
ニンマ派の奥義であるゾクチェンの教えについて著者のエピソードを織り交ぜながら語られている書籍です。
ナムカイノルブ・リンポチェは何度か来日されて教えを説かれています。
14、チベットの生と死の書
ソギャル・リンポチェは、アメリカ在住のニンマ派のラマです。
タイトルは「チベットの生と死の書」ですが、内容は仏教の哲学と修道に関する教えについて、現代に受け入れやすい例などを織り交ぜて説明してくださっています。
私は、特にチベットの偉大なラマたちのエピソードなどが印象に残っています。巻末にはそれらのラマたちの写真も掲載されています。
15、14人のダライ・ラマ その生涯と思想 上・下
歴代のダライ・ラマ法王について記された書籍です。
単純な伝記ではなく、それぞれのダライ・ラマ法王が説かれた教えや書き残された言葉や詩なども多数引用されており、ダライ・ラマ法王という稀有な存在の意味とその伝統について深く思いを巡らせることができます。
この書籍は著者の貴重な研究の成果だと思います。
次の記事では、この度の灌頂を授かることが決まってから、私が読み学んできた書籍についてまとめておきたいと思います。