占星学

【 牡羊座 】〜 一般的な占星学・人智学・秘教占星学における黄道十二宮の星座(1)〜

この記事のシリーズは、黄道十二宮の各星座の概要を(1)一般的な占星学 (2)人智学 (3)秘教占星学の3つの視点でまとめたものです。

 

 

1. 一般的な占星学における牡羊座

 

1-1. 象意

行動的、挑戦的、開拓者、勇敢、リーダーシップ、利己的、衝動的、企画力、アイデア、等々

 

1-2. 基本データ

● 標準期間 : 3月21日〜4月20日

● キーワード : I am 私はある(存在)

● 二区分 : 陽

● 三区分 : 活動(カーディナル)

● 四元素 : 火

● 四機能 : 直観

● 二十四節気 : 春分・清明

● 体の部位 : 頭・脳・顔

 

1-3. ディグニティ(品位)

● ルーラー(支配星) : 火星

● エグザルテーション(高揚) : 太陽

● デトリメント(障害) : 金星

● フォール(転落) : 土星

 

2. 人智学における牡羊座

 

2-1. 人智学における時代区分

牡羊座が春分点にあったのはポスト・アトランティス第四期(BC747年〜AD1413年)です。この時期は牡羊座の支配星である火星の影響を強く受けていました。

シュタイナーはこの時期に火星文化と名付けることのできる状況が形成されたと語っています。

個々の社会的構造は、この時代、本質的に火星文化・戦闘的文化をとおして発生しました。いまは戦争は時代遅れです。戦争は、昔より恐ろしいものになっており、時代遅れのものです。

ルドルフ・シュタイナー「星と人間」

 

この時期はまた「ギリシア ー ラテン(ローマ)期」と呼ばれています。

悟性魂の文化の時代であり、ギリシャ文化は、神話を愛し、プラトンとアリストテレスに代表される2つの哲学的な潮流を作り出し、芸術という果実をもたらしました。

雄羊座は、人間では頭部、額、頭の上部、本来の頭部に相当します。人間が世界に対して、認識をとおして関係を持つ時代が始まりました。

ルドルフ・シュタイナー「星と人間」

シュタイナーはこれを「頭文化・思考文化」と称しています。

 

2-2. 人智学における世界観

人智学によると牡羊座は「観念論」という世界観で私たちを照らします。

観念論とは「理念・理想が世界プロセスのなかにある。理念に浸透された生活だけが意味を持つ」とする世界観です。

 

2-3. 人智学における星座の気分

   牡羊座

光の輝きよ、生まれよ。

生成存在をつかめ。

力の活動をつかめ。

存在を呼び覚まし、輝け。

抵抗に打ち勝ち、

時の流れのなかに溶け去れ。

光の輝きよ、とどまれ。

ルドルフ・シュタイナー「瞑想と祈りの言葉」

 

3. 秘教占星学における牡羊座

アリス・ベイリー著「秘教占星学」より牡羊座に関する御教示を引用します。

 

3-1. 牡羊座の支配星(ルーラー)と光線

● 顕教ルーラー:火星・第6光線・関係する星座は蠍座

● 秘教ルーラー:水星・第4光線・関係する星座は乙女座

● ハイラーキールーラー:天王星・第7光線・関係する星座はない

 

・顕教ルーラーとは、普通の人間に関する支配星(伝統的な占星学における関係)

・秘教ルーラーとは、弟子とイニシエートにおける支配星(伝統的ではない占星学における関係)

・ハイラーキールーラーとは、ハイラーキーに関係するルーラ(伝統的ではない占星学における関係)

 

3-2. 牡羊座のデカネート

● セファリアル : 火星・太陽・木星(変動の十字架)

● セファリアル : 木星・太陽・火星(不動の十字架)

● アラン・レオ : 火星・太陽・金星

 

3-3. 牡羊座についてのジュワルクール大師の教え

 

牡羊座は意志と力の第一光線が私たちの惑星生命に到達する黄道帯の宮

(上巻・P116)

 

牡羊座は顕現周期を開始する宮である。

個々の実在としての魂はすべて、初めて蟹座で人間としての転生へと入り、牡羊座でメンタル的な実在として、牡牛座で情緒ー欲求の実在として、双子座で活力的な実在として姿を現わし、蟹座において物質形態をまとう。

これは、退化の主観的な周期である。このようにして、人々は物質界での存在という大海に、物質の世界に姿を現わす。

しかし、最初の衝動は牡羊座で目覚める。というのは、牡羊座は、活動を遂行しようという最初のアイディアが形になる場だからである。

それはアイディアの誕生地であり、真のアイディアとは実際にはーー主観的と客観的なーー形態をまとった霊的な衝動である。

そこに「転生しようという意志」が現れるため、最高様相つまり神性の特質に対する魂の反応が生まれる。神性の第一様相に反応するモナドの第一光線の様相が魂の第一光線の様相からの反応を喚起し、転生へと向かう最初の一歩がメンタル界である太陽系の界層で踏み出される。

(上巻・P117)

 

牡羊座の基調は四つあり、すべて同じアイディアを伝えている。それらは、転生する魂に対して象徴的に与えられる以下の四つの命令として表現できる。

 

1 存在し行おうという意志を表現せよ。

2 顕現する力を開花させよ。

3 主のための戦いに入れ。

4 努力を通して統一に到達せよ。

 

創造ーー存在ーー活動ーー闘争ーー統合、これらは、最初の星座の主の性質であり、その主が私たちの惑星に影響を与え、これらの結果をもたらすことを可能にする。

(上巻・P117)

 

牡羊座において霊的なエネルギーとして現われたものは、蟹座において魂の段階に入る。

その宮において魂は初めて形態へと転生し、天秤座で平衡点に達する。

その宮において魂とパーソナリティは協力のバランスを達成し、山羊座において意志の性質が遂行され、ヴィジョンとして見た目標を達成する。

山羊座において個人的な野心の高みに達するか、もしくはイニシエートになり、その霊的な目標を達成する。

この二つの目標の違いは、生命の車輪を巡る進行方向によって決まる。

(中略)

未発達な人は牡羊座から山羊座、天秤座、蟹座へと進むが、発達した人はその進行過程を逆転させる。

(上巻・P118)

 

牡羊座は、火(電気の火)と育て育む熱と焼き破壊する火の特質をもつ神のダイナミックな性質を私たちの太陽系に伝えるものでもある。

(上巻・P120)

 

火星は、理想主義、しばしば破壊的な狂信、苦闘、闘争、戦争、努力、進化へと導く第六光線のフォースを体現している。

牡羊座における神のアイディアは、その目的があらゆる形態における惑星生命の完全な精華であれ、自分自身のアイディアと野心的な世俗的計画を成し遂げようというパーソナリティの野心であれ、神の計画を遂行し、それらを自分自身のものにしようとするイニシエートの霊的な野心(高位の様相へと変性された世俗的な野心)であれ、山羊座において具体的な計画になる。

いずれの場合も、火星はさそり座の戦場へと導く。

(上巻・P125)

 

水星は牡羊座を、神の言葉であるアイディアが形態をまとい始める乙女座(これも象徴的な言い方である)へと導く。

その結果、牡羊座に隠されている生命が、宇宙的な意味におけるキリストの誕生に先立って、「誕生時の危機」へと至る。

とは言え、個人的なキリストの誕生は必要な懐胎期間が終了したときに山羊座で行われるが。

(上巻・P126)

 

天王星は、道の最終段階において魂を燃え立つ大地へと導く。

そのとき、牡羊座の火と天王星の力を通して生み出される火が最後の燃え立つ大地の炎の熱を生じさせる。

この燃え立つ大地を、イニシエートは最後には通らなければならない。

天王星はオカルトの道を支配し、秘教的な意味でイニシエーションの秘儀の祭司と関係している。

(上巻・P126)

 

以上で、一般的な占星学・人智学・秘教占星学の視点による牡羊座のまとめを終わります。